私たちが生活していく中で、時には国の手当金や助成金の制度を利用することもあります。これらは、基本的に申請制なので「知らないともらえない」と言っても過言ではありません。
知らなかったら損をする各種手当金・助成金について、特に利用する機会が多いと思われる「出産・子育て」と「病気やケガ」に関するものを見ていきましょう。
妊娠や出産は「病気ではない」という考え方から、これらにかかる費用には健康保険が効かず、全額自己負担です。そのため複数の補助制度が設けられています
上手に利用して少しでも負担を軽減しましょう。主な「出産・子育て」に関する手当金・助成金は次のとおりです。
妊婦健診とは妊婦や胎児の健康状態を定期的に観察するものでその頻度はおおよそ、妊娠初期は月に1度、妊娠中期は月に2度、妊娠後期は月に4度(週に1度)程度です。
これらの健診では検査内容等にもよりますが1回につき5000円~1万円かかると言われています。
妊婦健診補助券はその一部または全部を補う制度です。補助券は産婦人科等で妊娠の確定診断がされた後、母子手帳の交付とともに発行されますが補助額は自治体によって異なるので確認が必要です。
健康保険の被保険者あるいは被扶養者であること、妊娠4ヶ月以上での出産であることなどの条件はありますが、多くの場合が当てはまると思われますのでぜひとも利用したい制度です。
支給額は1児につき42万円(産科医療補償制度に加入されていない医療機関等で出産した場合は40.4万円)です。
これは「産休手当金」とも呼ばれ、産前産後休暇中の収入を補てんする意味合いを持っています。よって対象となるのは、勤務先の健康保険に加入している人です。
被扶養者、国民健康保険の加入者は対象外ですので注意しましょう。支給額は、日給(標準報酬月額÷30)の2/3×産休日数です。
なお、産前休暇にかからない妊娠初期などに妊娠悪阻や切迫流産で休業した場合、「傷病手当金」を受けることができます。ただし同時に受けることはできず、出産手当金が優先されます。
育児休業中の収入を補てんする制度です。健康保険ではなく雇用保険ですので、雇用保険に加入している人が対象となります。
ただし育児休業終了後に退職する人などは対象外です。
給付額は、育児休業開始日から180日までは休業開始時賃金日額×日数の67%(181日目から育児休業終了日までは50%)です。詳細については勤務先の人事担当部署に問い合わせるといいでしょう。
乳幼児および児童を育てる保護者に対して支給される手当です。0才~中学校卒業までの子どもを育てている保護者が対象です。
支給額は0才~3才未満が月額1万5千円、3才~小学校卒業までが月額1万円(第3子以降は1万5千円)、中学生は月額1万円です。
所得制限はありますが、多くの場合は満額受け取れると思われます。子どもが生まれたら出生届の提出と一緒に申請をしましょう。
以上、主な制度を紹介しましたが、このほかにも小学校や中学校での就学援助制度や高校の就学支援制度など、子育てをしていく上で利用したい制度がいくつかあります。
また、自治体独自の制度を設けているところもありますので、問い合わせてみるといいかもしれません。
次に「病気やケガ」に関する手当金・助成金についてご紹介します。医療機関等での医療費に関わるものだけでなく、病気やケガによって仕事を休まなければならなくなった、または辞めざるを得なくなった時に利用できる制度もあります。
ひと月(月初から月末まで)の間に医療費が高額になった場合、一定の自己負担限度額を超えた部分が払い戻される制度です。自己負担限度額は年齢や収入によって決まります。
通常は一旦医療機関等で支払いを済ませてから払い戻しを受けるものですが、70歳未満で、あらかじめ治療費や入院費が高額になることが予想される場合は「限度額適用認定証」の発行を受けることができ、支払いは自己負担限度額だけとなります。
業務外の病気やケガで休業せざるを得なくなった場合に収入を補てんする健康保険の制度です。
業務中の病気やケガは労災保険の対象となるので、この場合は傷病手当金の対象からは外れます。また、初めの3日間連続して休んだのち、4日目より支給されます。
就労できない旨の証明等(医師による診断書等)が必要ですが、入院していることは条件ではなく、自宅療養でも適用されます。
支給額は日給(標準報酬月額÷30)の2/3×休業日数です。支給期間は1年6か月で、その間に復職できなくても支給は打ち切られます。
家族の介護のための休業である介護休業中の収入を補てんする制度です。
育児休業給付金と同様に健康保険ではなく雇用保険ですので、雇用保険に加入している人が対象となります。
支給額は休業開始時賃金日額×日数の67%です。支給期間は最長93日です。介護は終了時期が定かでなく、長期にわたることがほとんどです。
支給期間が93日というのは、93日(3ヶ月)の間に介護体制を整えなさいという考え方からきているようです。介護の対象は、配偶者・父母・子・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹・孫です。
健康保険の被保険者が死亡したときに受け取れるもので「葬祭費」とも呼ばれます。支給額は保険の種類によって異なりますが、5万円程度と考えてよいでしょう。
私たちには、生きていく上でさまざまな節目があります。思いどおりにいかないことも多々あります。
特に経済状態は生活の質に大きな影響を与えるもので、時には生命に関わる事態に陥ることもあります。
手当金や助成金の制度を知っていれば、最悪の結末を避けることができたのにと思わされるニュースも耳にします。ここに紹介した以外にもさまざまな制度がありますので、困った時には関係各所に問い合わせてみましょう。